ツール・ド・フランス大団円。個人的敢闘賞を発表!

21日間にわたるツール・ド・フランスがいよいよ終わった。

終わってみればフルームの圧勝だった。総合優勝三回目。20ステージ完走し、総合優勝をほぼ確定した瞬間のフルームの安堵の笑みは清々しさを感じた。

頭3つは抜け出ていたチーム・スカイ、そしてフルーム

シャンゼリゼのチームスカイ

シャンゼリゼのチームスカイ

チームスカイのメンバーも強かった。最終日には、ポエルス、ゲラントトーマスなどアシストは誰一人書くこともなく9人全員でシャンゼリゼを並んで走った。

精彩を欠いたライバルたち

最大のライバルと目されていたキンタナは見せ場をつくることはできなかったが、終わってみれば安定の3位。

2位はフランス期待の星・バルデが、19ステージで飛び抜けてジャンプアップした。

それまで2位だったトレックのモレマは落車もあって結局10位以下へと落ちてしまったが、今回のツール・ド・フランスで最大の事件だったモンヴァントゥーでのリッチーポート、フルーム、モレマのカメラバイクに接触しての落車からのフルームが走った場面で、一人頑張ってなんとかタイムを稼いだモレマである。最後の最後で残念であった。

ポイントジャージのサガンも飛び抜けていた

ポイントジャージはティンコフのサガンの圧勝。ステージ優勝も3回。誰も文句がつけようのない完全試合だった。スプリントだけではなく中級山岳でも逃げに乗り、ポイントを稼いだ。ポイントジャージが決まってからもチームメイトのマイカのために山岳を引いて走る姿は仕事人であった。今大会の総合敢闘賞を獲得したのも頷ける。

山岳賞ジャージ2度目のマイカ

山岳賞ジャージは同じくティンコフのマイカ。山岳賞ジャージは今大会で一番動きがあった、デヘント、ピノーなどを渡り歩き、最終的にマイカが大きなリードを保った。コンタドールが早々にリタイアしてしまったティンコフにとって途中からこれらジャージ獲得に戦略を変え、これだけの成果をあげたのはやはり強いチームである。今期限りで解散になってしまうのが残念。

ヤングライダージャージは総合にも絡む強い新人

ヤングライダージャージは、オリカバイクエクスチェンジのアダムイェーツ。総合でも4位と今後が恐ろしい選手である。オリカのチームは総合としてはなかなか厳しいかもしれないが。

個人的にはエティックス・クイックステップのアラフィリップに注目していたが、残念ながら振るわなかった。

ツールドフランス103回大会のベストバウト

レースとしては面白い展開がいくつもあった。

スプリントステージは激戦

第一ステージを勝利したカヴェンディッシュが今大会最高のスプリンターだったかもしれない。サガンもスプリントで2勝を挙げ、ポイント賞ジャージに華を添えた。キッテルも1勝を挙げた。クリストフとサガンのmm差のスプリントも熱かった。

最後の最後にドイツのゴリラこと、グライペルが2年連続のシャンゼリゼ勝者となった。

最終ステージスプリント

最終ステージスプリント

最後にクリストフ、グライペル、サガンの熱いスプリント勝負は大いに盛り上がり、ツールドフランスの大トリを飾った。カヴェンディッシュは残念ながら山岳ステージの途中でリタイアした。

山岳ステージは、じりじりと

総合勢で山岳ステージで大勝するという展開はあまりなかった。最後に数十秒さをつけるので精一杯。というほどチームスカイがプロトンをコントロールしていた。

個人的には、身を結ばなかったが、リッチーポートが要所、要所で果敢にアタックしていたのが熱かった。序盤のステージで落車やマシントラブルでタイムを失ってしまったにもかかわらず、折れることなくアタックし続ける姿は格好良かった。本来表彰台でもおかしくなかった。

パンタノ・マイカのヒルクライム後の一騎討ち、バルデの気合いのアタックでフランス人勝利をもぎ取ったシーンも感動した。

やはり、フルーム

しかし、総じて印象に残っているのはフルーム。リーダージャージにもかかわらず、単独でのアタックなど魅せるレース展開を何回も見せてくれた。

フルームの超速ダウンヒル。スプリントステージの横風のタイミングで、サガン・フルームの協調逃げ切りなど、予想外のアタックは楽しませてくれた。

強さを見せつけたのは、山岳タイムトライアル。誰も抜くことはできないかに思えたトム・デュムランのタイムを最終走者として走り、20秒以上も上回るタイムでフィニッシュした。

そして、最後の選手だからこそできるステージ優勝のガッツポーズ。

あまりにも出来すぎていた。

J SPORTSで全て観戦したのは今年が初めてだったが、ロードレース観戦は過程のストーリーを自分で組み立てながら楽しむとダイジェストの20倍くらい楽しいものだなと思う。

ツールドフランス2016 Route92敢闘賞

ズバリ、リッチー・ポートとした。

リッチーポート第17ステージ

リッチーポート第17ステージ

活躍したという意味ではなく、レースを面白くしてくれたという観点で選んだ。

他にもパンタノやモレマ、ザカリンなども考えたが、無冠のリッチー・ポートを個人的なひいき目で敢闘賞としたい。

弱点と言われている調子のムラを克服し、21ステージを通して調子を維持できれば、いつかフルームを倒してくれるのではないかと期待している。そのためにチームスカイからBMCに移籍したのではないか!と思うと少年漫画っぽくて良い。来年こそ、期待している。

2016年のブルーレイディスクがもう予約受付中だ。

ツールドフランス仕様のティンバッグが意外といい。カバンのなかが山岳の赤水玉になっていたりする。

リッチー・ポートがチームスカイだった去年のツールドフランスはこちら。