8/20に気がついたらブエルタ・ア・エスパーニャが開幕していてびっくりした。
てっきりオリンピックが終わってから始まるのかと思っていたからだ。オリンピックの最終週の土曜日の夜にそろそろブエルタの選手のリスト発表されたかなーと何気にググったら、なんと今、まさにブエルタ始まっている時間だった。慌ててJSPORTSにチャンネルを変えるとすでに初日のチームタイムトライアルが半分くらい進んでしまっている。
しかし、今回は有力チームの出走順が後ろに固まっているようだったので、見どころを見逃すことはなかった。モビスター、ティンコフ、チームスカイはまだ走っていなかった。ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕にギリギリ滑り込みセーフというところ。
ブエルタ・ア・エスパーニャ有力選手
今年のブエルタ・ア・エスパーニャは有力選手が多くて面白い。ツール・ド・フランスでイマイチ振るわなかった選手が今季最後のグランツールに最後のチャレンジをかけてくるからだ。そして、意外だったのが王者フルームも参加すること。オリンピックも出て、さらにブエルタも出るとは今季はよほど調子が良いのだろうか。
さて、そんな豪華メンバーが揃った天下一武道会の様相を呈しているブエルタ・ア・エスパーニャ。有力選手を勝手にピックアップする。
優勝候補男塾筆頭リスト
優勝候補はこの6人で決まりだろう。個人的に上から優勝の可能性が高いと考えている。しかし、ブエルタは荒れるという噂もあり最後の最後まで誰が勝つのかわからない。もしかしたらこの他の選手からドーンとくる可能性もある。
- アレハンドロ・バルベルデ (チームモビスター)
- ナイロ・キンタナ (チームモビスター)
- クリストファー・フルーム (チームスカイ)
- アルベルト・コンタドール (ティンコフ)
- スティーブン・クライスヴァイク (ロットNLユンボ)
- エステバン・チャベス (オリカバイクエクスチェンジ)
それぞれの選手について少し解説する。
1.アレハンドロ・バルベルデ (チームモビスター)
結局、2016年のグランツール3つすべてを参加することになったバルベルデ。オリンピックロードにも出場していた。4月以降休むことなく走り続ける鉄人おじさん。個人的にはかなり応援している。ジロ・デ・イタリアの後半でダウンヒルで暖をとるために懐に入れていた新聞を下りが終わって取り出し、集団が落ち着いていたので広げて読んでいるジェスチャーをしたりとベテランならではの余裕を感じる。
こんなことをしつつも、今年はジロ・デ・イタリアではステージ優勝もしているし、春のクラシックでもフレッシュ・ワロンヌを史上最多の4勝目を上げている。ツール・ド・フランスではキンタナのアシストをがっつりやったが、肝心のキンタナが後半不調に終わり自身も昨年と比べて順位を落としてしまった。
バルベルデは弱点があまりなく、登りもタイムトライアルもスプリントもできてしまうので、器用貧乏と言われることもあるが、いつでも勝つのではないかと期待する。今回は一応エースナンバーの1をつけているが、キンタナも参加しているので、どちらがエースになるかは展開次第かもしれない。とにかくスペインのチームであるモビスターは、スペインのグランツールにかける想いは全チームの中でも強く、選手も揃えてきて最強の布陣であるから、バルベルデもしくはキンタナのどちらかが優勝に絡むのは間違い無いだろう。
2.ナイロ・キンタナ (チーム・モビスター)
2016年のツール・ド・フランスでは打倒フルームの男塾筆頭だったはずのナイロ・キンタナ。結論から言えば、全くいいとこはなかったけど、総合3位とやはりの実力。3週目のアルプスこそキンタナのためのステージという期待を皆が持っていたが、アタックらしいアタックもないまま沈んでしまった。本人はウィルスにやられてしまったことを不調の原因と発表して、オリンピックも回避して治療に専念した。今年はステージ優勝もなくまだ活躍らしい活躍を見ていない。ツール・ド・フランス前は故郷に帰ってゆっくり練習して調整するローテーションを取っているがどうやらあまり良くなさそうだから来年からは調整方法を考えてみて欲しいところだ。
ツールドフランスの無念をブエルタ・ア・エスパーニャにぶつけるために参加を決めたようなので、バルベルデとともにチームモビスターの底力を見せてくれるのではないかと思う。
3.クリストファー・フルーム (チームスカイ)
2016年も絶好調の王者フルーム。ツールドフランスの前哨戦クリテリウム・ドゥ・ドーフィネも1ステージを本気で走って楽勝という感じで総合優勝して、ツールドフランスも終わってみれば危なげない完全優勝だった。強力なダウンヒル、山岳アタック、タイムトライアルなど見せ場を作る勝負師の一面を見せてくれるので個人的には見せるプロ選手として尊敬している。さらに、今年は衝撃の走るマイヨ・ジョーヌは永遠に語り草になるだろう。
そんな絶好調のフルームはオリンピックもロード、タイムトライアルとフル参戦して、そのままブエルタに。オリンピックでは優勝候補だったが、リオの山岳では振るわず置いていかれるシーンを見せた。やはりチームスカイという圧倒的なアシストに守られていない状況では若干後手に回ってしまったのだろうか。タイムトライアルでもドゥムランに抑えられ、カンチェラーラに金メダルを譲る結果になってしまった。ツールドフランスに照準を合わせてコンデイションを作っていただろうから、ブエルタはあくまでオマケ感が強い。それでも王者の威厳を見せつけるのか?楽しみである。優勝争いには間違いなく絡んでくるだろう。
4.アレクサンドル・コンタドール (ティンコフ)
2016年で引退だと言っていたのもあっという間に撤回して、来年からはカンチェラーラの抜けたトレックへ。デゲンコルブも行くというから来年のトレックはイケイケモードに突入か。モレマなどもアシストに回れば盤石だ。さて、ツールドフランスでは序盤ステージでの落車から体調を崩し、ほぼ最初のDNFとなったコンタドール。春のパリ〜ニースでもゲラントトーマスとの差を山岳で縮めきれずに優勝できなかった。今年はまだ圧倒的なヒルクライムを見せてくれていない。
ブエルタに向け、小ディンション調整がうまくいったかどうかで活躍は期待できる。今年の、そして、ティンコフでのやり残しをブエルタにぶつけてくるだろう。ただ、バルベルデ、キンタナ、フルームに比べると若干厳しい状況かもしれない。
5.スティーブン・クライスヴァイク (ロットNLユンボ)
ジロ・デ・イタリアでの悪夢の落車がなければ総合優勝していたかもしれないクライスヴァイク。白い雪の壁に向かって激突した後、孤立したクライスヴァイクの元にチームメイトが誰一人もいなかったチーム力の面でもまだまだ総合優勝争いをする体制が整っていないのかもしれない。しかし、はまった時の走りは目をみはるものがあるので、坂だらけのブエルタを一人で駆け上がってくれることを期待している。
やはり、モビスター、チームスカイ、ティンコフに比べるとチーム力で劣るロットNLユンボ。クライスヴァイク一人の力だけでは、これまでの4人に食い込むのは厳しいかもしれない。チャベスと共闘してはどうだろうか。
6.エステバン・チャベス (オリカ・バイクエクスチェンジ)
コロンビア人らしい太陽のような陽気な笑顔を見せるチャベス。レースも楽しそうで、坂も早い。オリカも今年は調子が良く、ツールでもアダム・イエーツがヤングライダー賞を取るなど活躍を見せている。チャベスもジロ・デ・イタリアの最終2ステージではマリア・ローザを着ていたが、最後の最後でニーバリに置いていかれた。まだ21日間の長いグランツールでの体調管理についての経験が少ないためかもしれないが、今後は必ず優勝に絡んできそうな存在である。
オリカ・エクスチェンジは、アダムイエーツの双子の兄弟サイモンイエーツが参戦している。アダムよりもサイモンの方が能力を評価されているとも言うが、実際どうか楽しみの一つである。オリカがブエルタを荒らす嵐となるか、注目である。
以上、ブエルタ・ア・エスパーニャの優勝候補6人である。
まだ、2日目が終わるところ。大穴となるまだ知らない選手が飛び出してくるかもしれないブエルタ。荒れに荒れて最後まで誰が優勝するかわからないほど山岳がえぐいブエルタ。今後の展開が楽しみである。