春のクラシック後半戦、4/17オランダに場所を移し、「アムステル・ゴールドレース」が開催された。
4/20(水)「フレッシュ・ワロンヌ」、4/24(日)「リエージュ・バストーニュ・リエージュ」と忙しく続く、アルデンヌ3部作の第一部。
コースレイアウト
オランダの街をぐるりと4周するコースレイアウト。
258kmのコースはアップダウンの連続で、獲得標高差は3600mを超える。
周回コースは非常に複雑で、土地勘がある選手でも間違えそうになるそうだ。アムステルゴールドレースの特徴は34個も登場する激坂。なかでもゴール直前にあり、合計4回通過することになる「カウベルク」。登坂距離1200m(平均勾配5.8%/最大勾配12%)の立派な坂である。
このカウベルクの直前、または、カウベルクでのアタックで、勝負を決することが多い。
注目選手
まずは、2015年覇者はクフィアトコースキー。エティックスクイックステップからチームスカイに移籍したが、チーム力は変わらない。「1」のリーダージャージを着て登場する。
レース序盤から、チームスカイがしっかりとトレインを組み、チーム力を発揮していた。
そして、次に有力なチームは、今季調子がいいマイケル・マシューズをエースに立てたオリカ・グリーンエッジ。
スプリンターだが、「坂を登れる」と最近評判のマイケルマシューズは、顔が憎めない。
パリ〜ルーベでサプライズ優勝したばかりのヘイマンもアシストとして登場。
そして、私のお気に入りは、ドMの”北のクラシック”レーサー代表。ロットNLユンボのセップ・ヴァンマルク。
この人も顔がなんとも田舎の好青年なので好みである。
激坂おっさんホアキン・ロドリゲスも忘れてはいけない。
他にもボアッソン・ハーゲン、ジルベール、ルイ・コスタなど曲者揃いだ。
序盤 逃げ
11名の逃げ集団が形成され、集団はチーム スカイやオリカ・グリーンエッジが牽く展開。逃げグループとの差は最大約5分程度と大して広げず、少しずつタイム差を縮めていった。
中盤 追走の小グループ
残り65kmあたりで、ロットソウダルの選手が集団から飛び出し、3人が反応。4人で追走グループを形成し、集団から1分ほど先行して、逃げグループとの合流を目指す。しかし、逃げが粘っているうちにこの4人は再び集団に戻ることになる。
それにしてもアムステルゴールドレースは、細い田舎道が多く、集団も縦に細長く伸びてしまいがち、いまひとつ見所が難しいレースである。
急勾配の登りとテクニカルな下りがつづき、細い農道を淡々と進んでいくうちに、徐々に力の弱いものが脱落していく。メイン集団もついに割れ、ジルベールが集団から取り残される。
そして、3度目のカウベルクで、これまで順調にレースを作っていたかに見えたチーム・スカイが崩壊する。エース・クフィアトコースキーが全く力がない。チームメートも彼を置いて集団に戻る。そのままリタイアした。
ボアッソン・ハーゲンもここで遅れ、なんとか集団に戻るも、やはりその後失速する。
そして、ホアキンロドリゲスも気がついたらリタイアしていた。
終盤 ラスト4周回残り20kmを切る。
カウベルクを越え、いよいよ、最終周回に入っていくと、オリカ・グリーンエッジが集団をコントロールし始める。
先週パリ〜ルーベを勝利したヘイマンが、苦悶の表情を浮かべて牽引する。
チーム・スカイが崩壊した今、人を残しているチームは、ロットNLユンボくらい。セップ・ヴァンマルクに期待がかかる。オリカ・グリーンエッジの戦略は、坂が若干弱いマイケル・マシューズを最後のカウベルクをクリアしたときに上位につけ、ゴール前スプリントに持ち込むこと、一方で、セップ・ヴァンマルクは、マイケル・マシューズとのスプリント勝負になってはまずいので先行したいはずだ。
それ以外のチームは、アシストがバラバラになって、エースだけがなんとか残っている状態だ。
ロットソウダルのエース、ティム・ウェレンスが残り8kmで意を決して、アタックをかける。
平坦区間で、力強く走り、一時20秒差をつける。その頃には、オリカも数名になっており、集団を牽くチームがいないのも功を奏した。
残り3km、そのままティム・ウィレンスがリードを20秒弱持ったまま、「カウベルク」に突入する。
クライマックス カウベルク
カウベルクに入った集団はいよいよ活気づく。
その中から飛び出してきたのは、プロコンチネンタルチーム「ワンティ」のガスパロット。
ひとりだけ、足の残り具合が違う。カウベルクの坂で一気にウィレンスを抜き去る。
集団からも、チェックが入るが、カウベルクの頂上をトップで通過。
少し遅れたティンコフのヴァルグレンが必死に食らいついただけで、残りの選手はここで数秒、牽制してしまった。
残り1km。
ヴァルグレンとガスパロットの2人で10秒ほどリードする。
ガスパロットが、ローテーションを嫌い、勝負に徹したため、ヴァルグレンが先頭を牽き続ける。
ラスト150m。一休みできたガスパロットがスプリント。
ヴァルグレンアナスンは成す術なく、フィニッシュ。
ガスパロットが2012年にも同じレース優勝したが、それ以来の初勝利をまた、アムステルゴールドレースであげた。
3/27のヘント~ウェヴェルヘムでのレース中の事故により命を落としたチームメイトに捧げる勝利となった。
「僕たちには天使がついていた」
彼は、勝利者インタビューで、かつての戦友に感謝の意を告げた。
まさかのプロコンチネンタルチームの勝利。
単独ではなくヴァルグレンがサポートしてしまったようにみえ、展開が味方した勝利だが、それこそ、天使の仕業かもしれない。
4/20水曜日フレッシュ・ワロンヌ、4/24日曜日リエージュ・バスト・リエージュ、春のクラシックレースもいよいよ、クライマックス。
来月5/6からは、ジロ・デ・イタリア。
言ってるうちにツール・ド・フランスも始まってしまいそうです。
Route92