3/27テロの影響もまだあるなか、ベルギーでヘント~ウェベルヘム2016は無事開催された。昨年よりは天候に恵まれ、雨は降らなかったが、昨年同様ドーバー海峡からの強風が横風や向かい風となり、選手たちを苦しめた。
注目の選手は、2015世界選手権優勝のサガン ティンコフを筆頭に、今季限りの引退を表明している春のクラシックといえばの伊達男カンチェラーラ トレック、そのライバル トム・ボーネンは二人揃って参加。クラシックレーサーとして有名ながらもまだ優勝をつかんでいないセップヴァンマルク。スプリンター陣では、グライペル ロットソウダル、ミラノ~サンレモ覇者デマール FDJが参加。残念ながら、クリストフ カチューシャ、スタナード チームスカイなどは直前に体調不良で欠場。
やはり、個人的にはカンチェラーラに勝って欲しいと応援に熱がこもる。
中継はのこり140kmくらいからスタート。強風にあおられてか、結構小集団に分断されている。
5人の逃げ集団とメイン集団30名、さらに第二集団40名といった形。
メイン集団と逃げの差は4分程度。ヘント~ウェベルヘムで難所とされる丘はまだ始まっていない。今年は10個の丘を後半で消化するコースレイアウトで234km。
アタックポイントとしてはその最後の2つの丘、バネベルグとケンメルベルグが予想される。特にケンメルベルグは石畳で最大勾配が20%を超える激坂。カンチェラーラやセップヴァンマルクが得意とするコースだ。
バネベルグ・ケンメルブルク
まずは8つの丘を攻略していくのだが、逃げとの差は丘に入る前までにぐんぐん縮まっていった。メイン集団にはエティッククィックステップスが多く残っており、集団をコントロール。トレックもカンチェラーラを守りながら進む。横風が強いため、5人の逃げではなかなかスピードが上がらないため有力選手とアシストが十分なメイン集団が早いようだ。横風のコースでは選手たちは斜めの集団を形成する。エシュロンと呼ばれるらしい。アシストたちが全チーム協調していたので、比較的選手たちの表情には余裕がある。
丘に入り逃げは吸収される。第二集団も集団に追い付きレースは1度リセットされる。そして、8つの坂が終わる頃には再度アタックがあり、逃げ集団が形成されたが、強風も強風もあり、長続きせず吸収される。
と、ここでカチューシャから単独アタック。ひとり逃げが飛び出ていく。ロシアのクズネツォフ。リードを1分に広げ、いよいよ最後の丘2つに突入。
バネベルグでセップヴァンマルクがアタックしてリードを広げようとするが、吸収される。そして、最後の難所ケンメルベルグに突入。
カンチェラーラのエンジンが加速、アタックが始まる。サガンも負けじとアタック、セップヴァンマルク、スティバルが続く。
頂上をサガン、カンチェラーラの順で通過し、少し空いて、セップヴァンマルク、スティバルが続く。
下りの細い道も難所だが、ダウンヒルを得意とするサガン、カンチェラーラに歩があり、降りる頃にはなんとかセップヴァンマルクが追い付いた程度で集団とは20秒ほど差がついた。
ここからゴールまでの残り35kmは平坦。
サガン、カンチェラーラ、セップヴァンマルクの豪華メンバーによる決死の逃げが始まる。
一方、遅れをとったメイン集団ではエティッククィックステップス6名がアシスト中心に必死に追走する。エティッククィックステップスはトラック競技世界覇者の若手スプリンターのガビリアを最後のスプリントに送り込みたい。
逃げの3名がひとり逃げていたクズネツォフを吸収し、4名で逃げる。セップヴァンマルクも疲れのせいか、ローテーションに回れず、カンチェラーラとサガンでローテーションを回していく。
強烈なのはカンチェラーラの牽き。
時間もスピードもサガンを上回り、メイン集団との差が少しずつ拡がっていく。
ゴールまで残り10km地点で40秒超のタイム差をつける。
メイン集団のエティッククィックステップスのアシスト陣も足を使い果たし、他のチームでローテーションを回しはじめてほぼ勝負あり、先頭の逃げ4名の中でいよいよ優勝は決まりそうである。
残り2kmを切ると先頭の4名でも牽制が始まりローテーションが回らない。カンチェラーラが先頭のまま、残り1kmを切る。足を振り、最後の気合いを入れるカンチェラーラ。残り300m。
いままでローテーションも回していないカチューシャのクズネツォフがアタック。カンチェラーラ、サガンも続く。
しかし、カンチェラーラは続かず、サガンが頭ひとつ飛び出しゴール。セップヴァンマルク、クズネツォフと続いた。カンチェラーラは4位。
逃げの立役者カンチェラーラが足を使い果たしていたという残念な結果に少し不満が残るリザルトとなってしまった。
来週はいよいよツールデフランドル。
カンチェラーラの爆走に期待。
Route92