奥多摩までは比較的平坦なので、足の疲れはあまりない。
補給も済ませたので、いよいよ本番の雪張峠へ向かう。
奥多摩まで来ると自転車乗りが一気に減った気がする。
冬だからなのか、同じ方向に向かう人はコンビニで休んでいる間も一人もいなかった。
最終コンビニから多摩湖までは割とすぐつく。
ダムの水門を撮影し、いよいよ多摩湖と対面する。
湖面は広大で山に囲まれている。先日の寒波の雪がまだ残っている山肌は白く化粧されているようだ。
多摩湖の広大さに感動しながらもペダルを回し続ける。
が、多摩湖でかい。
進めど進めど、多摩湖沿いをぐるーーーーーと回っているという感じがしない。ただ並走を続けているだけだ。
奥多摩周遊道路の入り口はどこだ。
進むこと10km。
ようやく、多摩湖をぐるっと回っているような感じで、多摩川周遊道路へ入る橋につながる。
よし、多摩川周遊道路はじまった!
奥多摩ヒルクライム
と喜ぶのもつかの間、急に坂が始まる。ここから12.7kmひたすら登り続ける。
ギアをどんどん軽くし続け、あっという間にギアを使い果たした。
道沿いには何キロ進んだかの表示があるのだが、もうだめしんどいと思った瞬間が3km。
まだ残り9kmもある。
まじかと思いながらもギアをたまに1段あげて少しでもはやく終わらせようと坂に抗うも勾配9%の看板に心をへし折られる。それでも一番軽いギアをひたすら回す。6kmをすぎれば折り返しだからそれまでいけばあとは気持ちが楽になるはず。
辛いときの自分なりのモチベーションアップ思考。4時間のセミナーなどは2時間耐えればあとは減る一方だから我慢出来る。
もはや、つらいだけのヒルクライムを30分も続けただろうか、途中、何台かの車とすれ違うことはあるが、ほとんどの場合は、自分の他は誰もいない、静かな山に囲まれて、聞こえるのは自分の苦しそうな息づかいとわずかに聞こえるチェーンの回る音、そして、時折、山鳥が鳴いている。
6kmの札がみえた。のこり半分ほどだ。
時速10km行くか行かないかのスピードで走り続ける。
ヒルクライムってこんなに厳しいのか、漫画とは違うな。
なぜか、漫画の主人公はヒルクライマーが多い気がするが、ロードレースではやっぱり山が正義なのか。
スプリンター好きだけどな。
などと考えているうちにようやく7kmの札。
しかし、1kmがこんなにかかるのか。100mごとにも札がでる箇所もあるのだが、100mですら1分くらいかかっている気がする。そんなこんなで次の心の拠り所は目的地でもある「月夜見第一駐車場」だ。
頂上より少し低めにあるはずだ。そこまでは決して足をつくまいと決意している。ついたらさすがに足はついてもいいよね。記念だし。と坂を一度も足をつかずに登ることでなんとか遅いことは自分の中で許す作戦にすでに入っている。
しかし、なかなか月夜見第一駐車場へもつかない。
8kmまだか、
9kmまじ、もうついちゃうよ
10km
といってたら、見えてきた月夜見第一駐車場。
駐車場の一区画だけ、視界を遮る木々がなくなり、多摩湖を見下ろすことができる。
ようやく、自転車を降りる権利を手に入れた私。
ビンディングを外し、意気揚々と自転車から降りる。
はっきりと膝が限界だった。壊れるとはまさにこのことだ。
ぱきっとお皿が割れてもなんら不思議はないが、ようやくたどり着いた今日の目的地に痛みを忘れて、テンションが上がる。
地上1000mまで自力で登ってきた感動もあって、見下ろす多摩湖の景色は格別である。
残念なのは曇っていたことだが、なんとか、湖面を見ることはできた。
雪景色でもありなかなか冬の神秘的な情景ではある。
少し休憩をしたいところだが、寒さがそれを許してくれない。
麓では5度くらいはあったが、もはや0度の世界。
汗をかいた状態では体感はもう零下である。
数枚の記念撮影を終え、いそいそと先へ向かうがまだ2kmは登りだ。
すこしやすまった足で快調にすすめるか!?と一瞬思ったが、錯覚だった。
あっとゆう間に膝は悲鳴をあげて、ギアは固定ローギアと化す。
だが、残り2kmだ。最後の方はガーミンの高度を見ながらあと山場は2個だ。などと歯を食いしばって自分を拳続ける。よしもう一個登りで終わりだと思ってたら、急に下があって、ラッキー。
そしてもう少しだけ登ったら、下りだした。
下りだしたと思ったら、今度はもう止まらない。あれ?
頂上どこ?
おそらくすでに通り過ぎてしまったようだ。さすがに戻る気力などない。このまま下ろう。
ヒルクライムを頂上ロストという、中途半端なリザルトと膝に爆弾を設置するという因果に合いながらも今日の目的は達成あとは帰るだけ。それがしんどいのだが。
Route92